アドミッション・ポリシー

阿部研究室アドミッション・ポリシー

阿部研究室では、原子・分子エレクトロニクスやバイオエレクトロニクスといった、エレクトロニクスとサイエンスを融合した先端的なエレクトロニクス分野の実験研究を進めています。我々の研究ミッションを実現するには、配属された学生および研究員等との信頼関係を築くことが不可欠であると考えます。阿部研究室に興味がある学生と博士研究員の皆さんは、このページの配属に関する考え(アドミッション・ポリシー)を読み、自身の研究室選択における参考にしてください。

阿部研究室のメンバーになるには
阿部研究室(附属極限科学センター・先端エレクトロニクス研究分野)は基礎工学部電子物理科学科エレクトロニクスコース(学部)ならびに大学院基礎工学研究科システム創成専攻電子光科学領域(大学院)の講座として位置づけられています。したがって、学生が研究室配属を希望するには、どちらかの学生として所属している必要があります。博士研究員(ポスドク)としてグループに加わるには、日本学術振興会特別研究員(PD)に応募していただくか科学研究費補助金等でのポスドクして採用することになります。他大学から博士後期課程学生として研究室に加わるには、試験の前にヒアリングを行い、指導可能と判断した場合に入学試験を受けていただきます。社会人の博士後期課程学生としての受け入れに関しては、阿部研究室の研究に関係する内容を業務として行っている方の受け入れを行っています。

阿部研究室が求める人物像
研究室のメンバーには自主性を求めます。自らテーマ設定や研究計画を行わなければなりません。これは最初は面倒で難しいことです。しかし、時間をかけて自分自身で訓練していくしかありません。皆さんに認識してほしいことは、指導教員はあくまでもアドバイザーであり、研究の主役は学生や研究員なのです。研究を通して、数年のうちに社会にでもて通用する実力をつけなければ将来のキャリアップは不可能です。したがって、研究室のメンバー期待する人物像としては、挑戦的な課題にトライできる人、独自に課題設定する人、対等な立場として共同研究への参加する気持ちのある人、となります。教員に言われたことだけをして卒業したい学生にとって阿部研究室は居心地の悪い場所になると思います。「学問の前では皆平等」と言ったのは理論物理学者の坂田昌一(名古屋大学)ですが、その気持で研究室での生活をスタートさせてほしいと思います。研究をするということに関してはスタッフも学生も共同研究者です。

研究活動
研究室では全体のミーティングを毎週行います。研究の進捗状況をプレゼンテーションしてもらい、研究室全体で議論をします。これによって、研究における思考力、研究結果をまとめる能力、プレゼン能力など、社会に出た時に必要なスキルを身につけてもらうのがねらいです。それ以外にも個別に学生との打ち合わせを行います。大学院における「電子光科学研究I〜IV」および「電子光科学特別研究I〜VI」の評価は、全体ミーティングにおける進捗報告および出席状況、研究ノート、論文・学会等での発表状況から行います。

また、阿部研究室では、研究のコアとなる実験ツールの多くを自作します。測定回路から測定ソフト、デバイス構造など研究テーマに合わせて様々です。研究室に参加したメンバーは何らかの形で自分の実験装置を自分で作り上げていくことを求められます。実験装置を作ることは手間のかかる作業かもしれませんが、自分の作った実験装置でデータを測定するのは、嬉しく楽しいものです。そしてなによりも将来就職してから絶対役に立つと考えてます。これは私の民間企業での経験から間違いなく言えます。

楽しくなければならない
研究室の活動は研究だけではありません。飲み会やスポーツイベント、研究室旅行と多岐にわたっています。全てにおいて楽しんでほしいと思います。楽しくない研究室は意味がありません。研究室の生活の中で様々な経験をして、研究スキルとともにコミュニケーションの方法や英語を学び社会で通用する実力をつけてください。ただ、「楽しい=楽をする」ではありません。実力をつけるためにはつらい思いをしますが、実力をつけてこそ楽しく生活ができるはずです。

研究室に入るということは社会人になるカウントダウンが始まったことを意味します。研究室にはいった皆さんは残りの数年で社会人の準備をしなければなりません。そういう意味では皆さんには時間がないともいえるでしょう。今が大事であるということを常に認識してください。研究室に配属されたら知識の曖昧さをなくし、常に挑戦し続けるように心がけてください。

結果が全てである
米国では会社の寿命は約15年であると聞きました。いずれ日本もそうなっていくと思います。つまり、終身雇用をもはや期待することはできません。どこにいっても通用する実力を研究室にいる間につけなければなりません。私が民間企業に働いているときに実感したのは、技術があっても製造技術や製品企画、競争相手などを系統的に考えなければ利益を得ることができず、下手をすれば会社を維持することができないことでした。単に言われたことだけをがんばるだけの対価として将来の繁栄は約束されてません。常に考えながら行動をしていかなければなりません。これを繰り返すことによって社会で通用する実力をつけることができます。これは持って生まれた能力ではなく、訓練によって習得できる技術です。

博士後期課程(ドクターコース)への進学に関して
工学系の多くの学生が博士前期課程(修士 or マスターコース)へ進学しています。一方、博士後期課程(ドクターコース)への進学率は理学系に比べて低くなっています。私は積極的にドクターコースへの進学を勧めるつもりはありません。ただ、自分の経験から今後は博士号をもつエンジニアが必要になってくると考えています。ある(大企業ではない)会社の社長さんが「海外と商売をするには技術者が博士号を持っていないと性能が信頼されないので困る。博士号を持つ技術者以外で信頼されるのは創始者だけだ。創始者は会社をつくったということで信頼が得られているから。博士号を持つエンジニアが必要だ。」と嘆いておられました。私自身の経験として、民間企業にいたときに名刺交換した外国人技術者はほぼすべて博士号を持ってました。国内だけを相手にしていた今までは不要でしたが、今後グローバル化が進むと博士号は必須ではないでしょうか。「みんなが行くから行く、みんな行かないから行かない」というものではありません。博士号を取得するかどうかは自分の人生観であると思います。

以上の通り、新しく研究室メンバーに加わる皆さんに対する考えを書きました。一人でも多くの学生・研究員が阿部研究室での生活を楽しんでもらえるような環境を作るよう努力していきます。新しいメンバーが加わるのを楽しみにしてます。

阿部真之